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feature article特集
背景はモーターヘッドに掲載された写真を拝借
2025.07.31
先日ブログでご紹介しましたJingオリジナルタービンについて、本ページでは少し視点を変え、開発の背景や経緯を改めてお伝えします。
長年にわたり試作と検証を重ねてきた経過には、技術に対する真摯な姿勢と、GT-Rというクルマに向けた変わらぬ情熱が込められています。
読み進めて頂くことで、ターボチャージャーについての理解が深まるとともに、Jingがチューニングに込める考え方にも触れてい頂けるように思います。どうぞ、最後までお付き合いください。
Step1
サージングにお困りの方がいらっしゃいました。
Step2
様々な試みを行ったものの、サージングが解消されませんでした。
Step3
Step4
Step5
Step6
ご存知の方も多いかと思いますが、復習を兼ねてターボチャージャーの仕組みを改めてご紹介します。
ターボチャージャーとは、エンジンに“強制的に”空気を送り込む装置のこと。
通常、エンジンは「空気+ガソリン」を混ぜて爆発させ、そのエネルギーで車を動かします。
空気の量が増えるほど、より強い爆発が起き、結果として大きなパワー(馬力)が得られます。
しかし、自然吸気(NA)では取り込める空気量に限界があります。
そこで登場するのが、このターボチャージャー。
排気ガスのエネルギーでタービン(羽根車)を回転させ、その回転力をシャフトでつないだコンプレッサー側に伝えることで空気を圧縮。
その圧縮された空気が吸気側に送り込まれ、より多くの燃焼、より大きなパワーを生み出すことができる仕組みです。
つまり、「排気の力で吸気をブースト(増幅)する装置」——それがターボチャージャーなのです。
ターボチャージャーの排気側に位置し、エンジンから出る高温の排気ガスによって回転します。その回転エネルギーを使って吸気側のコンプレッサーを駆動させる役割を担っており、ターボの“起点”とも言える重要な部品です。
自動車業界では慣例的に、「タービンキット」=「ターボチャージャー本体+周辺パーツ」の意味で使われる場合が多く、Jingオリジナルタービンについても「吸気側のコンプレッサー+排気側のタービン+シャフト」のフルセットを一体型パーツとして「タービン」と呼びます。
吸気側に位置し、タービンによって回転することで外気を吸い込み圧縮します。圧縮された空気はエンジンに送り込まれ、燃焼効率を向上させます。パワーアップの鍵を握る、ターボチャージャーの心臓部のひとつです。
タービンとコンプレッサーをつなぐ一本の回転軸です。排気側のタービンで発生した回転力を、吸気側のコンプレッサーに伝える役割を果たします。高回転でも耐えられるよう、精密なバランスと強度が求められます。
コンプレッサーやタービンの羽根部分を指します。回転により空気や排気ガスを効率的に流す形状が設計されており、形状や枚数によって性能が大きく左右されます。空力性能と耐久性の両立が重要です。
ターボの作動中に発生する空気の逆流現象で、エンジンへの空気供給が不安定になります。ブースト圧が高すぎる場合などに起きやすく、異音や振動を引き起こす原因となります。ターボ設計上の大きな課題です。
「10種類ほど試作してテスト」というのは、つまりフィーリングやパワーバンド(どの回転域で効くか)を細かく調整していたということです。そのような試行錯誤を経て、ひとまず納得のいく最終仕様が完成しました。
現時点(2025年7月31日)では、社外への販売は計画しておりませんでした。 まずはこの最終仕様を見極めながら、さらに完成度を上げていきたいと考えております。 タービンというパーツに、これほどまでの時間と情熱を注いできた理由。それを、マニアの皆様に体感いただけるその日まで—— Jingの飽くなき挑戦に、どうか引き続きご注目いただけましたら幸いです。