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ジーイング代表、前田 仁(Jin Maeda)です。 これまで、メーカーのエンジンに対する考え方、パワーと耐久性とバランス、ボディ補強、サスペンションのセッティング、 コンピューターのセッティング等、車に関するあらゆることを学んできました。このブログでは、 日々の仕事の様子を中心に発信しながら、車に楽しく乗りたいと思っている方々に、それらをフィードバックしていきます。
Automatic translation / From Japanese to English >
I have added an automatic translation in the hope that it will convey at least some of the nuances.2025.09.19
メタル製インテークマニホールド・スロットルガスケットのシール性能について
はじめに
人は往々にして、自分にとって都合の良い解釈をしてしまいがちです。
メタルガスケットに交換すれば大丈夫!と
今回は、RB26エンジンのガスケット交換について、表面的な改善だけでなく、本当の性能向上について考えてみましょう。
純正ガスケットからメタルガスケットへの交換理由
RB26の純正ガスケット(インテークマニホールドガスケット、スロットルガスケットなど)は紙タイプですが、耐久性に問題があるため、メタルガスケットへの交換が一般的になっています。
メタルガスケットの最大の利点は、紙のように破れることがないという点です。しかし、破れにくさだけで十分と言えるでしょうか?重要なのは、マニホールド内の圧力を確実に保持するシール性能です。
メタルガスケットの構造と基本仕様
一般的なメタルガスケットは以下の構造になっています:
銅板:厚さ0.20mm
ニトリルゴムコーティング:表裏各0.1mm
全厚:0.45mm
※メーカーによって多少の差異はありますが、これが基本仕様です。
シール性向上のためのビード加工
0.45mmの厚みだけではシール性に不安があるため、メタル部分に凸凹のビード(突起)が加工されています
ビード山の高さ:約0.3mm
ビード込みの全体高さ:0.75mm
実際の使用後における問題点
ビード山の圧縮問題
メタルスロットルガスケットを規定トルクで取り付け、翌日に取り外して測定すると、ビード山は完全に潰れて全厚0.45mmになっていました。
ビードの山は潰れてビードがない所と同じ厚さになってしまいました
これは銅板自体に十分な反力(スプリングバック)がないため、ビード山が締め付け圧力で潰れてしまうことが原因です。
結果として、紙がメタルに変わっただけで、実質的なメリットは限定的と言えます。
不均一な締め付け圧力の問題
さらに深刻な問題があります:
ボルト配置の不均一性:インテークマニホールドやスロットルボディのボルト位置は均等ではありません
面圧の不均一:締め付け時に強い圧力がかかる部分と弱い部分が生じます
シール性の限界:ニトリルゴム0.1mmの厚みだけでは、圧力の弱い部分で十分なシール性を確保できません
感圧紙による検証結果
感圧紙(圧力測定フィルム)を使用した検証では
○印の箇所で圧力不足を確認
ビード山の跡は確認できるものの、これは締め付け過程で形成されたもので、継続的なシール性能を示すものではない
結論
メタルガスケットは耐久性の面では優れていますが、シール性能については従来考えられていたほど高くない可能性があります。
そこで弊社ではニトリルゴムではなく「発泡ゴム」を採用したガスケット類を製作しました
*次のblogは弊社製作の発泡ゴムを採用したガスケット類について書こうと思います
メタル製インテークマニホールド・スロットルガスケットのシール性能について
はじめに
人は往々にして、自分にとって都合の良い解釈をしてしまいがちです。
メタルガスケットに交換すれば大丈夫!と
今回は、RB26エンジンのガスケット交換について、表面的な改善だけでなく、本当の性能向上について考えてみましょう。
純正ガスケットからメタルガスケットへの交換理由
RB26の純正ガスケット(インテークマニホールドガスケット、スロットルガスケットなど)は紙タイプですが、耐久性に問題があるため、メタルガスケットへの交換が一般的になっています。
メタルガスケットの最大の利点は、紙のように破れることがないという点です。しかし、破れにくさだけで十分と言えるでしょうか?重要なのは、マニホールド内の圧力を確実に保持するシール性能です。
メタルガスケットの構造と基本仕様
一般的なメタルガスケットは以下の構造になっています:
銅板:厚さ0.20mm
ニトリルゴムコーティング:表裏各0.1mm
全厚:0.45mm
※メーカーによって多少の差異はありますが、これが基本仕様です。
シール性向上のためのビード加工
0.45mmの厚みだけではシール性に不安があるため、メタル部分に凸凹のビード(突起)が加工されています
ビード山の高さ:約0.3mm
ビード込みの全体高さ:0.75mm
実際の使用後における問題点
ビード山の圧縮問題
メタルスロットルガスケットを規定トルクで取り付け、翌日に取り外して測定すると、ビード山は完全に潰れて全厚0.45mmになっていました。
ビードの山は潰れてビードがない所と同じ厚さになってしまいました
これは銅板自体に十分な反力(スプリングバック)がないため、ビード山が締め付け圧力で潰れてしまうことが原因です。
結果として、紙がメタルに変わっただけで、実質的なメリットは限定的と言えます。
不均一な締め付け圧力の問題
さらに深刻な問題があります:
ボルト配置の不均一性:インテークマニホールドやスロットルボディのボルト位置は均等ではありません
面圧の不均一:締め付け時に強い圧力がかかる部分と弱い部分が生じます
シール性の限界:ニトリルゴム0.1mmの厚みだけでは、圧力の弱い部分で十分なシール性を確保できません
感圧紙による検証結果
感圧紙(圧力測定フィルム)を使用した検証では
○印の箇所で圧力不足を確認
ビード山の跡は確認できるものの、これは締め付け過程で形成されたもので、継続的なシール性能を示すものではない
結論
メタルガスケットは耐久性の面では優れていますが、シール性能については従来考えられていたほど高くない可能性があります。
そこで弊社ではニトリルゴムではなく「発泡ゴム」を採用したガスケット類を製作しました
*次のblogは弊社製作の発泡ゴムを採用したガスケット類について書こうと思います